森永卓郎 『庶民は知らないデフレの真実』

yuka

私は森永卓郎氏を敬愛していました。

庶民の側に立った経済の良き姿を提示し、そのためには政治がどうすればいいかを真摯に書いてきた氏にはひとかたならぬ敬意を示してました。

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  森永卓郎

しかし、この本を読んで氏に対する敬意の内容が変質してしまいました。

氏は金持ち優遇策を支持することになってしまったのです。


この本の中で、

「この本では、その構造を伝えるとともに金持ちの既得権益を守るために金持ちはどのように行動すべきなのかを伝えたいとおもう。

つまりこの本は、金持ちの金持ちのための経済学だ。」


とまで書いています。

この内容についての称賛、あるいは批判は読んだ人に任せます。

これからの日本の政策は、お金持ちをどんどん金持ちにし、そうでない人はどんどん落ちていくことが予想されます。

例えば、厚生年金は収入の16,412%を会社と折半にしています。

社会保障財源を保険料から税金に切り替えただけで、会社の負担が消えてなくなる。

しかし、負担が金持ちに集中しては困る。

ゆえに消費税は効率的だ、
ということです。

庶民は収入の80%を消費します。

しかし、金持ちは20%を消費します。

消費税が10%に跳ね上がったら、庶民は収入の8%を消費税にとられるようになりますが、金持ちは2%になることになります。

こういう事態になることについて、以前の森永氏なら憤っていたところが、こうなる方がいいというように意見を変えたのです。

しかも、「会社は仕入れにかかる消費税を社費として控除できる。金持ちで会社を持ってない人はいないだろう。」と書いているのです。

完全に金持ち側になったのですね森永氏は。

しかもこれまで、デフレが日本で16年間以上も続いていることに対して批判してきました。

これにより、日本での再就職は難しくなり、リストラも多くなるということです。

デフレをやめれば、日本が抱えている問題の殆どが解決できる。

ゆえに、「私が日銀総裁になり、デフレをやめなかったら銃殺刑にしてもいい!」とまで書いていました。

しかし、デフレは金持ちにとってはこれほどいいことはないのです。

資産が億単位である人にとっては、不動産や株が安くいっぱい買えます。

しかし、インフレになったらそれができなくなる。

だからインフレの芽を摘まなくてはいけない、ということまで書くようになってしまったのです森永氏は。

デフレを悪の根源として批判している学者たちを表に出してはいけないとまでいうのです。

その他、どのように日本が金持ち優遇の社会になっていくのかを具体的に書いてありますから、その内容の吟味は読んでいただきたいです。

森永氏は、これまでロバート.キヨサキ氏とも会談をしたことがあり、氏は「ロバート.キヨサキが言うに、一度金持ちになってしまえ。そうすれば金が金をよび、本当の金持ちになれる。しかし、そういうのは自分の支持する考えではない。」ということをある本の中で書いていました。

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ロバート.キヨサキ

しかし、やはりそういう道こそが王道であることに考えを変えたのでしょう。

これまで、森永氏は庶民派の経済学者だったのは自他ともに認めるところでした。

金持ちたちの、どこの三ツ星レストランがおいしいとか、どこそこのカリスマ美容師がいるといったようなことの話しにのれないのだ、といった事も書いてました。

それに、庶民が無理なく金持ちになれる、あるいは収入を得るようにと『庶民株』なる本も出版してました。

しかし、いつしか森永氏は、お金持ちになって今や資産は3億円になるようです。

そのことで、お金持ちの気持ちがわかるようになり、その資産を活かすにはやはりお金持ちを支持するようなスタンス、モノの考え方をしていかないとだめであるということがわかったようです。

いま政界や学界は金持ちのための決定がなされている、ということを知り、それに反するような意見を言ってはいけないし、アメリカを支持しなくてはいけない、ということも書いています。

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これまで金持ち優遇の政策決定やアメリカの対日要求に対し、これまでさんざん反対してきたにも関わらず。

確かに、この本では庶民に対して軽蔑の気持ちを出すこともしていませんし、巻末には、またいつものように、庶民が無理なく資産を得るようになるために、どうすればいいか具体例を書いています。

その詳しい内容については、巻末に書いてあるので以下のページを参考にしていただきたいです。

自分は庶民派なんだ、ということで、『年収300万円時代を生き抜く経済学』の売り上げ収入で、2000万円を得たことについて、そんなに稼いでいる人の「社会的な上昇など目指さないで、マイペースで生きろ」なんていう意見には与することができない、という読者の意見に対し、「こういった事はバブルに過ぎない」ということを書いていました。

しかし、実際はバブルではなく、何十冊ものベストセラーになった本が出たことから、いつしか森永氏の出す本はブランドになったようですね。

だせば必ず売れるというブランドですね。

バブルではなかったのですね。

何故、このように変わってしまったか…考えれるのは、やはり自分がいくら反金持ち優遇政策を唱えても実際にそれが変更されることはなかったからでしょう。

政治に対する無力感でしょう。

無駄な努力であったことを悟ったからでしょう。

でもそういったことを唱え続ける必要性はありますよね。

それが忘れ去られては、寡頭制につながりますからね。

今でも充分に寡頭制でしょうか?(笑)

やはり、巻後に庶民が収入を増やす方法のいくつかを書いているのは、政策に期待しているのではなく、自助努力の必要性についてものすごい期待をしているからでしょう。

そこでまたロバート.キヨサキ氏の言葉を思い起します。

氏曰く、「政治に期待するのではなく、自分が金持ちになった方が早い」ということですし、私もロバートの意見に与します。

ここでも森永氏のスタンスがロバート.キヨサキ氏のそれと一致したのでしょう。

やはり政治に期待するのではなく、自助努力の重要性について認識することの方が大事なのでしょう。

森永氏は、この本の中で、日本国民が欧米のように政治的決定に対し自分の意見を表明せず、怒らないことに憤りを感じている部分を発見しました。

何故怒らないか?

それはやはり、怒らずとも、政治活動をしなくても何の支障なく生活できるからでしょう。

消費税がこれから上がることになったら、どのような社会変動になるかわかりませんが、それでも大したことは起こらないのではないかと私はみています。

何故なら、今の一般的な日本国民は欲しいものが殆どないから、国全体がそれほど消費する量が減っても差し支えないのではないかと思います。

そのことで経済成長率が上がるか下がるかどうかはわかりません。

それで金持ちたちの収入が増えて、それで大きな買い物が増えて逆に、成長率が上がる可能性もあるでしょう。

しかし、この本を読んで、これから日本人がギリギリの生活になるような、あるいはマルクスが想定していた絶対的貧困の社会にはならないだろうとは思います。

経済学者にしろ、他の学者にしろ、あまりにその専門の内容について吟味してばかりいると、実際の現実に目がいかなくなって、絶望感が襲ってきて、そのような社会がやってくる、みたいな悲観的なことを書きがちになるのは古今東西変わらぬ事実です。

森永氏のこれまでの本を読んできて、これは大変だと思ったことや、危惧することもままありましたが、それほど絶望的になる必要はないなと思い、実際に社会がそう書かれたようにはならなかった部分も多々あったことも事実だからです。

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いくら不況であるとか、金持ち優遇の社会の到来とはいっても、庶民が日々食べるのも困るような社会にはならないだろうなとは予想できます。

そこは、日本が他の社会とは違い、環境や気候、風土といったものが経済成長に適し、こういった面はもちろん、人々が勤勉でしかも、好奇心旺盛で購買への意欲は、かつてとは違い若干少なくなってきているとはいえ、いまだ衰えていないからです。

ゆえに好転しやすい社会であるからですね。

しかし、普通に働き、年金を普通に収めているだけでは、ゆくゆく確かな生活を送れないだろう事は間違いないでしょう。

今の年金受給額を調べてごらんなさい。

年々、上昇し続けている生活保護希望者の数と、生活保護の受給額をみてごらんなさい。

到底、貯金をしつづけ、年金保険料を納めているだけでは足りないということがわかるでしょう。

その際に、お金持ちになる必要があるのは確かでしょう。

この場合の金持ちになるとは貯金が多くあるということはもちろん、働かなくとも入ってくる仕組みを持っているということですね。

そういうものが必要と思うならば、金持ちの考えを身に着けて、そして行動していかないといけないのは言うまでもないことです。

森永氏が、金持ち側になってしまった…そのことについて絶望するか、あるいは当然と思うかは人によって違うでしょう。

しかし、その金持ちの考えを身に着けたいならば、普通の労働者の考えのままではいけないのは言うまでもありません。

そういう人は、この本を読んで、その考えや行動のための発奮材料になることは間違いないでしょう。

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