務台理作 『現代のヒューマニズム』

人には2つのタイプがあって、人の心に興味ある人、もう1つは人の心に全く興味のない人に分かれる、ということを心理学の本で知りました。

後者にわからせるように教育を施しても前者のようにはならない、ということです。

社会主義を信なりと信じていた人は、前者のタイプであることが多いです。

また人間関係に悩む人や、ヒューマニズムという言葉に惹かれる人も同様にです。


これまで、合同出版から70年代に出された本で、社会主義を採択すべきだ、という趣旨の本を書いた著者の心を観察するに、やはり人の心を重んじて譲らない人であることがわかりました。

『現代の哲学入門』の著者や、『民主主義の挑戦』を書いた著者も同様にです。

自分の周りや、世界中に資本主義体制のもとで生活が苦しめられている人が大勢いる。

それを社会主義を国が採択することで、その生活から開放されるということを願っていたのですね。

この『現代のヒューマニズム』の著者である務台理作氏も、社会主義を信じてやまなかったようです。

この本の107ページ「結局、資本主義制度がこの地上からあとをたち、生産労働者中心の社会主義社会が実現されるのでなければ、解決されないものでしょう。」と書いているのです。

今は社会主義は無きに等しい状態にまでなってしまったから、それを信奉している人の本は読む価値がないと決めつけないで、最後まで読むことをおすすめします。

この人はいろんな本を出しているがゆえに、かなりの数の本を読み、そして雑誌を読み、冊子やジュリストの類も大いに読み、深くものごとを探求してきたのでしょう。

単なる教条主義によって社会主義を信じたのではない事は明らかでしょう。

しかしマルクスのカリスマ性に惹かれていたのは間違いなかったようで、そういうカリスマ性に魅せられた人は、論拠不充分でそのカリスマ的な人のいったことを信じてしまう傾向があるのですね。

やはり1960年代から70年代当時のマルクスのカリスマ性はかなりのものだったのは、当時社会主義について書かれた本を読むと伝わってくるのがわかります。

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   マルクス


やはりマルクスの信条の柱は資本主義批判になるようで、マルクスに魅せられた人は資本主義社会内にマイナス点があると、それをことすら攻め立てて、社会主義を正当化する傾向があった事はまちがないですね。

しかし、それは今となっては滑稽に映る面があることは否めません。

いま地上に、社会主義国4カ国しかなくて、しかもそれらの国はいずれも市場経済を採用しているからというわけではなく、私がもっと早く生まれて、60年代から70年代に学生や学者として生きていても、このように社会主義を礼賛したかどうか疑わしいです。

この本の中にある「資本制がその健康な上昇期を終えて爛熟し、頽廃を始めると、これは人間と社会、人間と人間との本来の関係を深く引き裂くことになった。

ところが生産手段の私有制度と高度の商品生産のために、この本来の人間関係が覆い隠され、人間は自然からも社会からも引き離され、本来人間性、全体的人間の可能性を阻害される事になりました。

そのために19世紀後半になると人間はひどく孤独を感じ、資本主義文明の皮肉と絶望を感じ、ニヒリズムに陥るようになりました。」という箇所に意識が向きました。

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また「獲得した賃金で生存に必要な物資を買い求めたり、娯楽のために消費したりすることの方を主目的となり、労働はそのための手段だけのものになってしまいました。

更に豊かに幸福な生活を作ることに関するイメージを持たない抽象的な労働になり、ただ生産に必要な賃金をうるための手段になってしまいました。

現代の共同体の解体、それに代わった大企業、会社の利己主義とコマーシャリズム、階級と階級の対立、人間性の極端な孤立化、こういう現代の社会的状況が人間を個人主義へ追い込んでいくのです。」というところでも同様でした。

確かに、都市化がすすみ、このような工場や施設に入って作業に従事することばかりになってしまったのは人との関係を希薄にしてしまったのは言うまでもないでしょう。

しかし、これは資本主義であろうと社会主義であろうと、収益を上げ無駄を省くためには必然的に合理化されるわけで、こと資本主義だけが至る道ではないでしょう。

確かに、古今東西そのような状態に不満を持つ人はいますし、逆にそのような状態でも不満を持たない人もいるわけで、そのような人間性の希薄なところでの生活が我慢できないのであれば、違う職業に移ればいいだけであって、それが直ちに資本主義社会批判になるというのは短絡的の批判を免れないでしょう。

またいろんな消費財に溢れた資本主義社会にある商品に対して、「大衆は自分の意志で買うのではなく、むしろ買わされるのです。」とも書いているのは行き過ぎでしょう。

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末期の社会主義国では、生活に必須な商品が慢性的に不足して、それしか買うものがない状態になり、それこそそれしか買えない状態になって、まさに「買わされる」状態になっていた事は間違いないでしょう。

資本主義社会において確かにあまりに魅力的な商品レビューや、宣伝に踊らされてつい買ってしまったということもあるでしょう。

それで自分の財政状態が悪化してしまったのならば、次回からは控えればいいだけでのことでしょう。

また自己顕示欲のある人もいて、その人は有無を言わずに買った可能性もあるでしょう。

そういった深い考察なしに、資本主義社会では資本主義社会ゆえに買わされる、というのはマルクスの思想を無批判にうけすぎ、という感じが大きく感じます。

しかし、先にも書いたようにヒューマニズムというものにものすごく関心のある人は、人と人との心の触れ合いを求めている心温かい人である場合が多いですし、この著者も同様でしょう。

ゆえに、そういう場のなくなってしまった場所の存在は否定的に見てしまうのでしょう。

その温かさには同情しますが、かといってそれを直ちに資本主義社会批判に結びつけるのはいかがなものかと…(笑)。

この著者は「テクノロジーの波の中にありながら、しかもそれによって疎外されない強靭な人間になることにこそ、現代の人間問題の解決であるという考えがでてまいります。」と書いていますが、それはこういった論述された思想の蔓延を助長することで叶うと考えたのでしょう。

そのために、この人はこの本を書いたのでしょう。

また一般人も、そういうことを書かれた本をいっぱい濫読して知的武装をしていくことも大事でしょう。

人と人とのつながりを第一に考える事=ヒューマニズムと捉えていいのでしょう。

心冷たいよりも、心温かい方が私も全然いいですし、そのように日々人との関係を心がけています。

そのようなモラルの人ですから、この著者は圧政や戦争にもこの本の中で大いに反対しています。

その論拠には素晴らしいものがあります。

短絡的に社会主義を信奉してしまう面は受け入れませんが、その面では大いに共感し、支持したいと思います。

その思想に触れたい人は是非ともこの本を読むべきでしょう。

●この本は以下よりどうぞ。
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