佐和隆光 『市場主義の終焉』

1990年代初頭までの総中流階級社会は終焉を遂げ、持てるものとそうでないものとの格差が拡大していくような政策がここ日本では執られていたことはこれまでの研究で明らかです。
アメリカの政策を模倣してきたのですね日本の為政者や官僚、首相といった人たちは。
これについて反旗を翻したエコノミストが多くいました。
その中の1人といっていいでしょうこの本の著者の佐和隆光氏は。
市場の力が暴力と化し社会的弱者を虐げるむきと、昨今の政策を批判していることからもあきらかです。
所得格差が拡大し、教育や医療の荒廃を嘆いているのです。
エコノミストや経営者といった人たちもやはり強者であり、その立場に立って経済を論じているがために、それを不滅の論理とすると、今の現状が依然とした状態に固まってしまうのですね。
60年代から80年代の日本では、画一的教育、工学部中心の国立大学、終身雇用、年功序列による企業への忠誠心の醸成、長期的かつ安定的な取引きや系列関係、重厚長大産業の中心とする経団連、通産省による行政指導といった事が相まって、ハイテク加工組み立て型製造業で世界ナンバーワンになったのですね。
しかし、経済社会がシフトチェンジし、ソフトウェアでシンガポール、韓国、インドに水あけられる事態になったのでした。
こういった事態になったことについて批判するだけでなく、そういった内容を吟味して、その長所に関して認識しつつ、更にシフトチェンジした社会においてどのような適応をさせていくかを研究していくことが必要でしょうし、日本国民のだれもがそれを考えていくことが大事でしょうね。
日本が戦後経済的に成功出来たのは、産業に取り組む国が少なかった、教育が国全体に浸透していた、ものを運ぶ街道が近世において整備されていた、だれもが戦争によって貧しくほしいものがたくさんあった、気候が経済成長にフィットしていた、その他いろんなことが要因になって成功することができたということですね。
しかし、90年代いこうになっていろんな国が産業化に取り組むようになった、国民のだれもがほしいものがなくなった、といった事が要因になり、経済的に成長が難しくなったということでしょう。
こういった世相になれば、やはりインセンティブを働かせなければ、だれもが働かなくなるのは自明の論理というものです。
月収20万円以下でよろしいというモラルでいる人は大勢いるでしょう。
それだけ満ち足りた社会であるということです今の日本は。

昨今の格差社会の是正のためには,下層の人たちが必死になってストライキをするなどといった社会にならなければ難しいでしょう。
また、不平等を是正しようとする政党の議員の紹介の冊子を街頭で配ったり、その党を支持してくれるように友人や知人に頼むのもいいでしょうが、それのみならず自分がお金持ちになるための行動(ビジネスや投資)の勉強をして、それを実行に移していくことが大事でしょう。
自分の政治への思いがそのまま反映されることは投票だけでは無理なのですから。
昨今の格差社会が遺憾と思うならば、自分でビジネスを立ち上げて、そこで儲かったお金に関しては差のないように配分する、というような具体的な行動が必要ですね。
格差社会について不満に思い、それを投票によって叶えられることはないのは、これまでの歴史で明らかですからね。
ここで佐和氏が批判している昨今の日本の経済政策についての批判が、為政者たちの行動に移るとは思えないですね、残念ながら…。
現今の経済政策について、ウィンドウズとリナックスを引き合いに出し、ウィンドウズが占拠率が90%を超えていることについて、2つに差はない、ウィンドウズが運が良かったということを論じています。
持てるものと持たざるものの差も、運であり、それほどの能力の差ではないということでしょうか。
ビデオテープがあったころ、ビデオテープにはVHSとβがありましたが、その2つに機能上に差はなかったですが、ちょっとした営業の差によって瞬くまにVHSが市場を占拠してしまったのですね。
こういった事の事態についてどのように感じ、論じるかは各人に任せます。
佐和氏は、今後、不確実性の増大が高まり、個人間と国家間で情報の違いによる格差が拡大するとしています。
その通りでしょう。
既に満ち足りた社会ではその方向へ行く可能性が高いですね。
自分が経済的に潤った生活をしていきたいならば、政治に託するだけでなく、自分がお金持ちになるように努力した方が賢明でしょう。
かの有名なロバート.キヨサキは「自分が金持ちになるように政治に期待するよりも、自分が金持ちになれるように行動した方が早い」と書いているのを何度か読んだことがあります。
私はそのような議論に大いに与するものです。
この本を読んでそんなことを考えました。
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