莫邦富 『アジア覇権の行方』

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中国の経済情勢をみていくことは非常に興味深いところです。

90年代半ば頃は、中国は今のような発展を見せてはいなかったです。

中国は、多民族国家であり、多言語であり、閉鎖的な社会で、他の国の文化を容易に惹き入れない文化をもっている。

そしてなにより、社会主義というマルクスの抱いた壮大なるユートピアは達成不可能であることが証明されたがゆえに、その社会主義を採用していた中国はその残滓を引きづることになり、経済発展は難航するだろうという事が言われていましたし、戦後短期間で経済復興を遂げた日本のような国の文化と比較して、私自身これから中国の発展は難航するだろうという憶測をしていました。

しかし、それから10年以上の歳月を経て、中国は大きな発展を遂げることになりました。

そして今や世界2位の経済的な地位を誇るまでになったのです。

このように変貌した中国の経済的な推移を垣間見ることは非常に興味深いことでした。

その転機は、朱鎔基が国のかじ取りをした時に訪れました。

彼による非常に強力なイニシアティブによって経済改革が成功したのがわかります。

中国の経済は、それまでの社会主義による官僚主義により汚職や腐敗がはびこり、経済成長を圧迫していたのは、誰でもわかる事態でした。

そういった人たちのリストラは不可欠であるのは誰にでもわかりますが、それを断行するのは至難のわざでありましたが、朱鎔基1200人中300人のリストラを断行しました。手(パー)

「部」や「委員会」も40から29にまで減らしました。

のみならず、浦東開発計画を成功させ、中国版の不良債権である三角債問題も解決、97年にアジアをおそった金融危機の際に朱鎔基は「中国は断じて元の切り下げはしない!」と毅然とした態度を示し、その結果インフレは鎮静化し経済発展の軟着陸に成功したのです。

また、中国の中央銀行の頭取を朱鎔基が兼任することによって銀行の汚職や横領を多数摘発し、更迭処分を受けた幹部は3000人にものぼるといいます。

こういった彼の並はずれた手腕と強力なイニシアティブによって中国経済の発展の大きなターンイングポイントになった事が見て取れます。揺れるハート

その詳細はこの書を読んでもらうほかないですが、非常にワクワクとしながら読んで、興奮したものです。

また、朱鎔基の手腕のみならず、中国を代表する家電メーカーの「海爾」の存在も注目すべきだと思いました。

この家電メーカーは日本の「松下」と言ってもいいくらいの存在です。

85年にドイツの経営ノウハウと技術導入で発展したという。

この会社はエアコンで有名ですが、その他にも冷蔵庫、テレビ、電子レンジなどその製造には多岐にわたり、順調な発展をみせ、97年には中国のエアコン市場の37%を海爾が占めるまでに発展しました。

のみならず、16もの企業を傘下にいれ、売り上げは108億元(1626億円)にまで昇るといいます。

その後、中国がWTOに加盟したことから中国に強い企業を作る必要に迫られ、その際、海爾と5つの企業に対して、中国政府が200万元(3億円)の金を毎年投資をして技術革新にあたらせているという。

また、世界中に5500万人いるという華僑や華人という人たちの存在を忘れてはいれないでしょう。

彼らは、異国の違う言語や文化の国に行きながらも、そこに根を下ろし、曲りなりにも経済的生活をしてきたのです。

そのために、世界中の華僑、華人と言われる人たちの生産額は240兆円にものぼるといいます。

それだけでなく、果敢に異国に乗り込むことによって、中国のエリートたちはアメリカの対中政策に重要な役割を果たすことにもなったのです。

王紹光はエール大学で、非敏新はプリンストン大学でその辣腕をふるいました。

またウォール街では500人以上の新華僑が働き、世界銀行に200人以上の新華僑が働いているのです。

のみならず、米国留学経験者が中国の政策の中枢についているのです。

ここをよんで思ったのは、大きな政策の断行は痛みを伴う、という事ですが、その通りであると思います。

しかし、その痛みのあとにどのような社会が到来したか?

これが政策を断行した人の評価の尺度になると思います。

日本では小泉純一郎首相が、構造改革を断行し、その際に「改革は痛みを伴う」と喧伝していましたが、その構造改革の後、日本に到来したのは、戦後以後かつてない格差社会です。

これはもう評価に値しないと思うのですがどうでしょう?

しかし、朱鎔基が改革を断行した後に現れたのは、かつてない中国の繁栄を得るきっかけになった経済社会です。

そのことについて彼をもっと評価してもいいのではないか?

と私は思ったものです。

自分のためにではない、中国を最優先に考え、そして経済の事が良くわかっている天才的な人物でないとこういった断行は難しいですが、それを彼はやり遂げた史上稀に見る中国の元首だったと思います。

中国が社会主義を捨てたからといって、その残滓は残っているのも確かでしょう。

民主的に元首を選出するわけではありませんし、国の元首がのちの元首を指名するシステムですから、指名された人が、朱鎔基のような天才的な手腕をもっていないと、国の政策は大きく揺れる事になるのは間違いありません。{

そういった国が揺れないシステムを構築していくのが、これからの中国の課題でしょう。

また、華僑華人と言われる人たちの存在もこれからの日本人にとって見習うべき存在であると思いました。

言語も文化も習慣も全く違う国に果敢に乗り込んで生活をする…これは並み大抵の精神力では出来ないことです。

日本国内だけにいれば生活していられるという甘い環境にいる日本人にはとてもまね出来ない事でしょう。

英語を中学校から高校まで6年間勉強してきたにもかかわらず、海外にいって英語が話せない日本人が大勢いるのは有名で、しかも話せないから日本人だけで小さなグループを作り孤立してしまう、ということも海外では有名な話です。

しかし、中国からの華僑、華人と言われる人たちは、中国という今でこそ経済的に発展を見せても、いまだに本当に過酷な環境で育った人たちは、非常に自律の精神が備わっているのが事実です。

中国には法律というものがあるにもかかわらず、いまだに人治主義が根強いのは、生きていくならばどんな事をしても、というか法を破ってでも行動していかなくては明日の命も危うい、という環境で育ったからこそでしょう。

法を守っていては、自分たちの生活が危うくなる、そんな環境で育ったからこそ、他国に果敢に乗り込んで生活していくことが出来るのでしょう。

彼らは、自分の生活を政府に任せる、などという思想などもたないのです。

そういった思想の持ち主たちが、中国の経済を大きく支えているのも事実なのです。

いまだに、財政赤字を垂れ流している日本政府に老後の資金を頼みにするのは不可能でしょう。

こういった華人、華僑と言われる人たちの「自律、自立」の精神に学ぶものがあるのではないでしょうか?

この本をよんでそんな事などを考えてしまいました。



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アジア覇権の行方―日本を脅かす中国その実力と正体






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