西尾幹二 『ヨーロッパの個人主義』

これは西洋とは何か、個人主義とはなにかとう素朴な疑問や関心を持っている人には、目の覚める本でしょう。

かくいう私もそういう関心を持ってました。

西洋日本を比較して、日本より西洋の優れた部分をとりだして、これでないから日本はだめなんだというモラルになり、そのように日本および日本人を貶して満悦に浸る、そういう社会学者が少なからずいたように思いました。

確かに、進んだ西洋をみて、日本のすべき急務が見いだされる気分になるのはわかります。

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それは岩倉遣欧使節の結果からもわかります。

そのあまりに進んだ文明に驚き、それと同時に日本も西欧化しないことには植民地にされてしまうという危機感が募ったのは当然でしょう。

しかし、その西洋化、あるいは文明化というものは、科学の積み重ねによってはじめて可能なのであって、それがない国や地域では不可能でしょう。

そのようなことが可能であるためには、その必要性にせまられなくては不可能でしょう。

やはり西洋では文明化する必要があった。

と同時に、科学の積み重ねが可能な土壌があったということでしょう。

それが可能であるためには、資料などの大量発行がなくてはいけませんし、それを研究するのに可能な気候がなくてはいけません。

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熱帯や亜熱帯といったあまりに暑すぎて、勉強や研究が難しい国では不可能でしょう。

そういった事を踏まえれば、文明化していない国を貶したり蔑んだりする必要もないでしょう。

しかし、西洋は進んでいるし、日本の模範としなくてはいけない、という前提があったがためにひたすら、こちらの研究をすることばかりにバイアスがかかってきてしまったのでしょう。

その憧れの対象になっていた西洋、そして個人主義というものに関心が集まっていたのでしょう。

しかし、個人主義というものが、日本よりも進んでいたのは、それが西洋にとって多くの人の暗黙の支持があったからこそ、蔓延したのであり、必要もなければそれが日本よりも進んだわけはないですね。

そこを理解しないといけないでしょう。

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確かに、それを学ぶことで触発されて、そのよい部分を人生に取り入れる事があってもいいでしょう。

しかし、共通する部分もあればない部分もあった日本と西洋の歴史において、やはり個人主義がそれほど発達しなかった日本では、西洋ほどの蔓延はないでしょう。

しかし間違えてはならないのは、西洋を上位に置くことでなければ、日本を上位に置くことでもないのです、比較文化という学問は。

あくまでも双方が互いを尊重したうえで、良き部分を取り入れることが重要であるといっているだけです。

そこを取り違えてはならないでしょう。

また双方を比較することで、日本の良き部分を認識できるというメリットもあるということを発見できればいいと思います。

しかし、あまり本を読まずに世間知らずでいるときには、個人主義は冷たく、集団主議は暖かいというようなイメージを植え付けてしまうでしょう。

かくいう私もそうでした(笑)

しかしそうではなく、根源的な語の定義から個人主義は利己主義ではない、ということです。

集団主義と対比の構造をなしていますが、それは他人に迷惑をかけることを良しとするのではなく、集団の責任は全員が被るのであれば、個人主義では個人が責任を被るということですね。

集団主義的といわれる日本では、飲み会の時に誰もが最初にビールを飲むことから始めるのが通常ですが、個人主義の国といわれる国ではだれもが自分の飲みたいものを頼んで飲むというのが通常のようです。

ある西洋人に言わせれば、何故、日本の飲み会ではだれもが生中ジョッキで始めるのが当たり前なのかわからないといいます。

それは、いいか悪いかという問題ではないということはお断りしておきます。

こういった個人主義の場面は古今東西どこにでもあります。

もちろん日本にもです。

しかし多寡で言えば、日本は集団主義が多いというだけのことです。

それはやはり風土や文化、そしてそれらを含めた積年によって固まり、今日に至ったということでしょう。



これから先、どのようになるかは誰にもわからないでしょう。

でもどちらか予想すれば、私はこれから先、日本は個人主義に傾くような観がします。

集団的な行動が好きな人もいれば、個人的な行動が好きな人もいます。

どちらを選び、そして主張するかは、その人に任せるというほかないでしょう。

しかし私が思うに、集団主義の弊がこれまでいろんな本を読んだり、会社組織に入ったりして経験していくうちに、その弊については、経験して認識もしてきました。

それがわかったならば、理不尽な集団主義は回避しなくてはならないでしょう。

もちろん、個人主義も行きすぎは、やはり弊が生み出されるわけですから、それについては認識したら改めていくように務めないといけないでしょう。

そんなことを考えました。

●この本は以下よりどうぞ!
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