南原繁 『人間と政治』

この本は昭和28年に出されたものですが、今も版を重ねて売られているから驚きです。

日本を代表する政治思想学者として著名な丸山真男氏と同じく、この人の名声がかなりの程度口づてに伝わり、大学の政治学の講義でも推薦されているのでしょう。

ただ私は、丸山氏の本は非常に難解で読みづらいので推す気にはなれないのですね(苦笑)。

しかし、講演の内容を中心に収められた『日本の思想』に関しては読めて理解できるので推したいですね。

しかし、南原氏の本は、読みやすく理解も充分できるので、ここで推したいですね。

この本が出された当時は、やはり戦争に日本が負けて、それまでの反省と回顧を中心になるのは必然でしょうし、それから先の展望にも当然なります。

やはり戦前の圧迫と搾取の実態をさらすのですね。

生活の欠乏から解放された新たな国際社会、世界共同体の建設にいそしむのが目標であったようです。

国民の勤労の権利と最低限の生活権を保証するのが眼目になっているのがわかります。

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過去の事実の人為的な改作、それは民族主義歴史主義に求めたゆえに、日本の軍国主義は暴走したのだといいます。

これは目の覚める分析の仕方ですね。

ゆえに日本民族は神的な種族に昇華した、ゆえに世界を同化しなければならないという思想になったのだといいます。

そこでおこなわれていたのは独裁的統制集団的組織化が行われていたのです。

その反省から国民主権を確立したことになります。

皮肉にも、このような立場があったにもかかわらず、日本には発生しなかったですが社会主義国では、この独裁的統制と集団的組織化が行われてしまったのですね。

その社会主義国は、また新たなファッショでしたね。

やはり違う形で歴史が繰り返してしまったようで悲しいですね。


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しかし、日本ではその戦前の反省からファッショ化はなかったですがやはり人類の脳内からその歴史が忘れられていては、また繰り返してしまうから注意が必要です。

その面だけでなく、近代科学への警鐘を鳴らしているのも興味深いですね。

この本では、「生産が人間のためになっていたのが、今では人間が生産のために」という文言が書いてあるのですが、ここを読んだときにまた当時はやった社会主義称賛の論文かと思いましたが、そうではなかったですね。

近代科学への無条件の信頼ではなく、楽観主義を批判しているのです。

これは私も同じ立場にたつものです。

やはりどのような事や物も、完壁なるものはないですから、それが暴走しないように目を張ってないといけないということです。

同じことは、日本の宗教や軍隊に対しても発しているのです。

宗教は神のためと同時に人間のためということを書いているのです。

やはりそこで導き出されるのは、戦前の現人神の思想でしょう。

それがエスカレートすることで、無批判になり、軍隊の暴走になってしまったのは頷けるでしょう。

軍隊に対しても同じで、戦争や軍備に対しても中立的な立場になるものです。

そこでも傍観主義、日和見主義でもいけないということです。

諸国家共同体の国際組織を確立していくことの提唱をしているのです。

と同時に国民の知性と道徳の確立を唱えています。

それも、この本の最初から最後まで一貫しているのです。

他の何か宗教を持ち込むべきであるとか単純な移植論で済ますのでもなければ、安易な傍観主義でもないのがいいところですね。

また新たに勃興していた社会主義思想にも安易に与してないのがいいところと思いました。

これは昭和28年に出されたものですが、中国の現実をみて圧制が行われているのを見て、批判的になっていますね。

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昭和40年代50年代においても、いまだに社会主義を真なりと信じて疑わずにいた学者や文化人がいたことを考えれば慧眼ものでしょう。

この南原氏は、単に海外で勃興した思想や運動のムーヴメントに対して、闇雲に模倣して、それを日本でも取り入れるべきであるという結論には達していないのが、共感できるところです。

それらの潮流は、その国々の様々なことが要因になって起こったのであって、その条件が違っている日本がそのまま模倣をすることで、打開策が開けるというようには考えてませんので、その安易な取り入れには賛同できないのですね。

であるからして、この南原氏の立場を支持するのです。

そういった面を垣間見ると、非常に奥の深い学者であり教授であったのがわかります。

やはりそういう奥の深い人を知識人として見習いたいのならば、この南原氏の本は非常に参考になります。

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