ジョルジュ.マルシェ 『民主主義の挑戦』

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この本が書かれた73年当時は、資本主義か、社会主義かの2者択一しかなかったゆえに、やはり多くの社会での悪弊が資本主義国で重なると、社会主義に移行するしかない、という結論に導かざるをなかったのでしょう。

社会主義を捨てる国がドンドン出ていったさなかにおいても、フランスが先進国中、富の配分が一番不平等だった時期があったのは事実です。

その時期には、社会主義政党が政権を握っていたのも事実です。


この著者が、そのような結論に達したのは人を思いやる気持ちが充分にあり、多くの人の幸福を願っていたからでしょう。

この本の30ページにおいて「ところで現代は、真に新たな社会はたった1つしかない。

それは社会主義だ。まさに、この社会主義のためにフランス共産党は闘っているのだ。」
と書いているのです。



ゆえに、社会主義に国が移行することを望んでいた。

それくらい、フランス人の生活が政府によって圧迫されていたということが明るみに出ていたのでしょうね。

それは、この本に「フランスにいる最も裕福な納税者は1日で最も貧乏な人の年収を稼ぐ。

化学繊維、道路、医療の企業は、68年から71年の間に独占がになった。

牛肉の値段がこの間に14.2%、豚肉ハムソーセージが10.3%値上がりしている。

失業者の数は70~80%の間を上下している。

家賃は一般人の場合、3分の1あるいは2分の1を取られる。

労働者は劣悪な住条件で過ごしている。

騒音、喚気不良、採光条件が劣悪である。

集会場、文化スポーツ施設、駐車場も不良で、水や大気汚染、騒音の中で暮らしている。


とつまびらかに述べているのです。

これだけの悪条件が重なっていれば当然、フランス政府に対して不満を持って当然でしょう。

社会主義国がこういった事がない、という事実を知っていれば当然、社会主義国にフランスも移行すべしという意見になっても当然でしょう。

更に、無政府的な都市化により、郊外へ勤労者を集中させ、そしてお金をもっている人たちが不動産取引きに有利な条件を作っている、というのも許せなかったのでしょう。

フランス政府は、お金を海外であらゆる投機に使い、寄生的な生産を求めていたようです。

更に、この著者が言うには、

「毎日10時間も働き、疲れ切って家にたどり着き、明日もまた苦役につながれるために、ただ食ってねるだけ。

各人が思うがままに、生活したり、あるいは友情を深めたりする時間を与えることと、物質的な諸欲求を満たすことを切り離してはならない。」


とまで書いています。

ここを読んでも、やはりこの著者の人間的な優しさがにじみ出ているのがわかりますね。

その望みをあらゆる人のために実現することが社会主義の任務であるというのです。

その社会主義社会の実現のために、

すべての人に平等な労働の機会を与えること

教育の無償化

教育管理の民主化

単一=非宗教的なサービスを形作る


という4つの方途を呈示しています。



この著者によれば、フランスには、天然資源、経済的な潜勢力、発達した生産装置、試練積みの労働者や知識人が多くいる。

しかしそれらを運営するのに金がかかりすぎであり、官僚的で無数のゆがみや立ち遅れを導き出しているというのです。

しかも公共料金が外国投資のために使われ、少数の独占者に対してのみ利益をもたらしているというのです。

フランスは民間の科学技術研究の立ち遅れ、数百万の知性や才能が未開発のままであるとも言います。

それゆえに、70~80万人の失業者がいたというのです。


これを打開するには、フランス経済のしくみを、経済政策、社会政策を全く新しい方向性を与えることが重要であるのはいうまでもなかったですね。

1握りの銀行家、産業家は好き勝手に工場閉鎖、失業、配置転換、野蛮な規律、成果の1人じめ、必需品を奪う等のことを決めれるというのは当然問題でしょう。

また、農民の所有地を破壊し、工業と金融グループの利益になっているということも遺憾だったのでしょう。

これは社会主義によって、長期低金利の融資あるいは貸与にするのが望ましいとしているのです。

農地以外も不動産は、国有化にすべきであるというのを主張しているようです。

フランス国有鉄道(SNCF)は、近代化を達成したようです当時。

しかしアメリカでは鉄道会社がいくつも倒産していたようです。

「国有企業は新しいものへの適合能力、技術進歩を制御する力、上質の定期サービスを供給する能力の点で民間企業などとても太刀打ちできないモノである。

国有化部門の労働者はその戦いのおかげで一連の物質的、社会的特典や労働組合の権利と自由を確保しつづけてきた。

国有化こそまさに集中化に対する民主的な回答である。」


とまで書いているのです。

ということは、これが上梓された当時のこの著者が訪れた社会主義国は、まさに順調だったのでしょう。

現に世界の経済大国はアメリカ、ソ連、日本の順位でした。

社会主義を標榜するソ連2位だったのですから当然それに見習うべきだとする論調がでても当然でしょう。

マルクスのカリスマ性ゆえか、あるいは資本主義の部分的な失敗ゆえにか、かつては社会主義を採択する国が地球全体の半分に迫る勢いがあったことは事実ですね。

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   マルクス


それは何故かということを考えると、ほとんど少数の人間たちがイニシアティブを握って国を指揮し、統治するということになれば、国民大半が同質的に行動する必要があるのはいうまでもないことですね。

それで可能なのは、識字率の低い国でおこなうことが必要でしょう。

識字率が低いということは、本などの媒体が普及していないということゆえに、思想も考えもほとんどない国で可能であったということでしょう。

社会主義政権の樹立が最初になったのは、中国ロシアなどの識字率の低い国だったのです。

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これを見逃してはならないでしょう。

その他、先進国で社会主義国の樹立が可能だったのは、少数でした。

それゆえに、科学や教育が発達しているがゆえに、その是非について議論が戦わされて、なかなか前に進まない。

ゆえに漸進的に進むしかない。

社会主義の良き場面を取り入れて徐々に社会に改良を加えていくという論法になったのだということでしょう。

それが功を奏した、という表現が適切かどうかわかりませんが、フランスが社会主義を採択という事態にはならないままでおわったのです。

前にも書いたように、社会主義的政策をどの国も部分的に取り入れて現在に至るのです。

それが結果的には人類的にはよかったのだと思います。

91年ソ連のクーデターを期に、一気に社会主義国は社会主義を捨てていったのです。

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この本は73年に出されたものですが、これ以降、社会主義の経済面や社会面などのいろんな面でほころびが出てきたのは間違いないですが、それについて察知できなかったのかなあと思います。

そのほころびが出ていたのは確かですが、論文を書くのは1人の作業ゆえに完璧には情報収集できなかったのかなということは予想できます。

この著者と同じように、我が国は社会主義に移行すべきだとする論調になっていて、しかも単純な思考法ではなく、かなり厳密に研究を重ねたうえでその結論付けた本として『現代の哲学入門』を以前に紹介しました。

そん論調は非常に緻密に行われたがゆえに、この人のこの本を読んだら、私が20歳以上の学生であったら、社会主義者に変更していたかもしれないとい思われるほどの緻密さでした。

しかし、社会主義思想が凋落してしまった今となっては、やはりそれはホームラン性のファールだったようです。

※参考ページ
 ↓

『現代の哲学入門』について紹介したページ
https://blog.goo.ne.jp/ladyevil/e/72e2f79a01c117b43fc021479e58b315


これまで書いてきたことですが、社会主義国が今や4国だけになり、いずれも市場経済化していることを踏まえれば、もう社会主義に関する本は読む必要はない、というような意見になってしまう人がいるのは致し方ないとは思います。

しかし、どのような本でも学ぶ面は多くありますので、捨てるとか、その手のは一切読まないという意見には私はならないのです。

資本主義には、よき点があってもそれが時とともに風化してしまう危険性もあるのです。

それらを吟味するうえで、社会主義に関する本を読むことは大事と思うわけです。

しかも資本主義は完璧無比ではないですし、欠点はあるわけです。

それに、資本主義の存続が可能か不可かという議論が出て、それは後者という勢いの方が強いというのが昨今のような気がします。

それを裏付ける事実はいくらでもあります。

その論調の本をこれから読んでいきたいですし、良かったらここで紹介したいとも思います。

その際は、この本のように社会主義のよき点を吟味した本を併せて読みながら考えていきたいと思います。

まずはこの本を紹介したいです。

●この本は以下よりどうぞ!
   ↓



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