古在由重 『思想とはなにか』

yuka

私は思想とは、社会をよくしていくためにあるものであるが、しかし単なる激情だけで怒って、自分の思いを吐き出すのではなく、それがどのような目的をもって、どうあるべきかを呈示したうえで、その根拠をつまびらかに示したうえで表明すべきであるというような思いに大学時代になり、それが今でも続いているのです。

根拠は、やはり科学的な、構造的な内容を伴っていなければ説得力がないということです。

ですから、自分から本を読み、いろんな情報媒体に接してから表明すべきである、というように思っています。

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その科学的、構造的な内容の吟味は、いつまでも永遠にやっていては割り切れずにいて前に進めませんから、ある程度研究したら、表明しなくてはならないでしょう。

自分の考えというものは、知識の多さによって変わってくる性質を持っていますから、あとになって知識を得て変わってきますから、その際は自分の転向を呈示しなければならないでしょう。

しかし、いくら知識を得ても、前と全然変わらないこともあり得ますから、それには譲歩が必要です。

その知識を得るにしても、やはり1人では限界があるのですから、友人知人との会話も欠かせないでしょう。

このような作業を通じて、人の思想は変化していくものですから、自分の考えは、どんなカリスマ的な著作家、科学者に影響を受けてもやはり、その人と全く一緒になるということはあり得ないでしょう。

私の大学時代のゼミの先生は、政治学の専門でしたが、その先生はかなり丸山真男にぞっこんでした。

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  丸山真男


学生時代から何回丸山真男の本を読んだかわからないし、もう本はボロボロだといっていました。

その丸山真男は、非武装中立を唱えていましたが、その先生は非武装中立には反対でした。

このようなことはあってしかるべきですし、そうなっても全然咎めることなどないのです。

ゆえに、いろんな人から学んで、その人のいいところは受け入れて、受けいられない面については受け入れなくてしかるべしです。

今回紹介する本の著者についても、受けいられる面については受け入れて、受け入れない面については受け入れないですね。

この著者いわく、「思想とは、我々自身に直接の衝撃を与える個別的な事態を一層広い視野の元につかみなおす。

我々の抵抗を我々の姿勢につめるものである。

我々の激情に透徹した理知の眼を与えるものである。」


と書いているのです。

人によっていろんな定義はあってしかるべきですし、この定義を受けいられるかどうかは人によって違うでしょうが、私にはほぼ受けいられる内容です。

更に、「主体性を奪い返す道ははっきり言えば、現代の政治、これを支える独占資本主義の体制を突き崩す以外にない。」と書いているのです。

その実現のためには、冷徹な理知と科学の思考でもってということですね。

その面については非常に参考になるし、私のモラルと一緒です。

このように、60年代70年代に書かれた思想について書かれた本を読むと、きまって資本主義批判や資本主義打倒を旨とした本が少なからずあるのですね。

社会主義思想ですね。

その社会主義は、マルクスの唱えた議論を政治や経済に生かすのを骨子とした思想ですが、この人の思想は、かなりカリスマ性があったのがわかります。

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       K.マルクス


考えもせず、マルクスのいった事だとわかると、無批判に信じてしまい、それのみかその理論の正統性を証明するための本まで人生をかけて執筆したりする学者が少なからずいたのは驚きです。

それが愚かだったなどと揶揄するつもりは私にはまったくないです。

やはりカリスマ的な人というのはどの時代でもいるわけですし、その人の言葉を聞いているだけで、あるいは読むだけで信じて無批判になってしまうことは経験するのです。

ある事柄の是非を明らかにするには、やはり検証という作業が必要です。

しかし、その検証という作業をしているだけで10年かそれ以上必要なことはよくあるのです。

しかし、そんな作業をするよりも、カリスマ的な人のことを鵜呑みにしていった方がいいこともあるのです。

その結果、自分は持論を高次に引き上げて誰からも称賛されるようになったというような経験は多くの人が経験することではないでしょうか?

例えばスポーツなどの世界はそうですね。

あるカリスマ的なコーチ、あるいは監督のいわれるがままに、その内容を吟味せずにトレーニングしていったら、入賞することができた、あるいは優勝することができたというような経験はあるのではないでしょうか?



吟味などしていてたら、間違いなく自分は入賞も優勝も出来なかったということですね。

ですから、マルクスのいった事だからといって無批判でいた人を責める気にはなれないですね私は。

しかし、この本の14ページに書いてある内容には苦笑を禁じ得なかったです。

そこにはこう書いてありました。

「こうして今日の資本主義社会では人々の人柄そのものまでが大規模に労働市場の商品となった。

アメリカの社会学者がこの現象をパーソナリティの市場と呼んだのは誠に適切である。

それは内的自己の喪失であり、主体性の放棄であり仮面の生活をしている。

しかし、生きた人間であるならば、いつまでもこのような状態に耐えられるはずはない。」

これではあまりに短絡的ですし、資本主義=悪というような図式が固定され過ぎの感は否めないですね(苦笑)

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しかし、地球の半分近くが社会主義を採択した時期があったにもかかわらず、社会主義経済ではうまくいかないことが次々に判明していき、90年以降、どんどんと社会主義国で革命が起き、その有効性が今はもうほとんどないのが明るみに出た今となっては、その是非を論じる意味はなきに等しいでしょう。

私は、そのマルクスのカリスマ性に惹かれた世代ではないですから、今はそのことについてほとんど勉強しませんが、その当時にバリバリの経済学や政治学の学生だったら、その思想の信者になったかもしれません。

ですから、社会主義を真なりと信じていた学者たちを批判しようとは思わないですね。

しかし、その妥当性はほとんどないのが判明したことは間違いないですね。

この著者いわくに、人間の肉体、人間の生活、人間の労働と思想は結び付いているのです。

そのことも私は賛成ですね。

そして「この環境が極めて非人間的な汚辱に満ちているからには、それぞれの時代の思想そのものも、またこの非人間的な環境と闘わねばならない」と書いているのです。

この文章は、まさにマルクスに影響を受けた人ならではの内容と思いました。

何故ならマルクスは、いかに人民が資本主義によって生活が苦しめられているかを『資本論』においてまざまざと書いているからですね。

ゆえに、当時の日本やその他多くの国をつかまえて、「汚辱に満ちている」と書いているのでしょう。

私はこの本が書かれた60年の日本に生きていたらそういう感情を抱いたかもしれないですね。

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こういう感想を抱く人が多かったからこそ、自民党と拮抗する勢いを社会党は持っていたのでしょう。

しかし、それがその勢力を持ち得なくなったのは、やはり資本主義の恩恵を徐々に国民が受けて恵まれた生活ができるようになったからでしょう。

それと同時に社会党の勢いもなくなっていったのです。

凋落していったのです。


そしてこの著者は、「思想」の重要性を強調するために、いかにそれが大きな役割を果たしてきたかを述べるために、数多の例を古代から簡潔に書いているのです。

そこには、明治期にJ.Sミルがいかに影響を与えたかを述べていますし、スピノザが市民と平和と自由を情熱的に求めた挿話を紹介しています。

その、J.Sミルの本について紹介したページは以下です。
  ↓
『J.Sミルと現代』
https://blog.goo.ne.jp/ladyevil/e/6ba3b6361075ec9b75809d7fa22fa9af#trackback-list


そして、真実の革命家の不屈な精神はあらゆる外圧を跳ね返すところの限りない弾力を持つべしといいますし、外力を受けてもゆがみを見せない剛体に比べてみるべきであると書いています。

先に書いたように、人の思想には受け入れられる部分とそうでない部分はあってしかるべしです。

このかたは、マルクスの思想を信じて疑わなかったのがわかります。

しかし実際は、一時的に上手くいっただけであって、永遠に上手くいく性質をはらんでいなかったのは明らかです。

そのマルクスを信じていた学者、思想家であるからといって全部を否定する気は私にはないですし、学べる部分や賛同できる部分については受け入れるのです。

受け入れる部分があるからこそ、この本を紹介しました。

●この本は以下よりどうぞ!
   ↓



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