E.H.カー 『歴史とは何か』

yuka

E.H カーといえば、大学在籍中に現代国際政治学の祖ということを国際政治学で習いました。

平和とは現状維持ではなく、平和的変更であるという現代では当然視されている法則を呈示したということでその学問の祖となりえたのでしょう。

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E.H カー


やはりそういう持ち上げられ方をされれば、読みたくなるのが必然でしょう。

そういうモチベーションで読むのも結構でしょうが、私としてはもっと根源的になぜ人間は歴史を学ぶ必要があるのだろうか、という疑問からこの本を読んだ次第ですね。

しかしこの本は1962年が初版なのに今も新品で入手可能なうえに、電子書籍でも購入可能なのは凄いですね。

日本の歴史は、小学校から学んでいますが、それは実に学ぶ必要があるのだろうか、というようなことを考えることしばしばでした。

昔のことを知ることは非常に興味の深いことでしたし、歴史に関しては好きだったし、年表づくりを担任の先生から私は頼まれるほどでしたが、しかしなぜ学ぶのかがはっきりしませんでした。

それは、この本や他の歴史学入門歴史学概論といった本を読むことでわかる気がしますが、どの本も答えは1つだけ書いてあるわけではないですし、そういった類のいろんな本を読むことをお勧めしたいですが、ここではこの『歴史とは何か』を勧めたいと思います(笑)。

カーによれば、物事の再構成の過程が事実の選択と解釈を支配するというのです。

これこそが、事実を歴史的事実たらしめるということです。

事実が記録されると、その記録した者の心を通して屈折してくるということですね。

やはり、いろんな経験を重ねればわかることですが、1つの物事については、人によっていろんな捉え方があり、感じ方があります。

1つでは決してないのですね。

ですから完全なる客観視などできた話ではないのですね。

しかし極力、客観視をしていく努力をしていく必要はあるのですね科学を修めるのであれば。

歴史家は研究の対象の人々の行為の背後にある思想を想像的に理解するべきである、ということです。

そして、現在の眼を通じてでなければ過去を眺めることも、理解することもできないということですね。


現在を理解するカギとして、過去を征服して理解するのが歴史家の仕事であるといっているのです。

これこそが、冒頭に掲げた歴史を学ぶメリットというか意義なのでしょう。

現代の先行きを明るいものにするために、あるいは現代に横たわる問題を打開するために歴史を学ぶということでしょう。

しかしそれは単なる歴史の事実を年表を学び暗記するというのではなしに、その歴史に登場した人物の背景をつまびらかにして、そのうえで考えるということでしょう。

すると歴史家の仕事は、その歴史について書かれた本を読んで研究するだけではなく、そこの登場した人物の生い立ちや、家族との関係、周りの人間の関係、その育った社会の状態など多岐にわたる勉強が必要でしょう。

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そういうことができた歴史に関する本を読むと心が非常に壮大な気分に覆われて、またその人の書いた本を読んでみたくなってしまうのですね。

その1人が堺屋太一氏(故人)ですね。

この人の書いた本を読むと、多岐過ぎる学問の世界観に圧倒されます。

興味ある人は、氏の『最終講義』という本を読むことをお勧めします。

以下にカー氏の書いたこの本に書かれている至言を引用したいです。

「自分が研究しているテーマや企てている解釈に何らかの意味で関係ある一切の真実を描き出す努力をせねばならない」

人間は、環境から完全に独立なものではなく、その絶対の主人でもない。

諸個人間の相互依存が複雑な進んだ形をとっているということ書いてますが、その通りの、あたり前ですが、このことを認識しないでいては、歴史的な解釈などできた話ではないですね。

新しい社会秩序のイデオロギーは社会秩序における個人の創意の役割を大いに強調することになったといいます。

歴史上の人は、社会に突き動かされながら行為についたというのもまた大事なことですね。

それをカー氏「社会の産物であり、無意識なスポークスマン」と表現してます。

過去に対する歴史家のヴィジョンが現在の諸問題の洞察に照らされるてこそ、偉大な歴史は書かれるということですね。

フランスの階級闘争は、つまらぬ連中が英雄づらして大手をふるって歩き回れるような環境と関係を作り出したとマルクスはいったようですが、歴史的な事件や変革期の変化は、その論じる人の価値観や得てきた情報、知識によって違ってくるのでしょうね。

そこをどう論じるか、そしてそこからどのようなヴィジョンを描くかが決まってくるのですから、その内容は十人十色でしょうし、そうなるから興味深いですね。

その他、この本が奥深いなと思ったのは、クロムウェルレーニンのように自分たちを偉大にさせた諸力そのものを作り上げるのを助けた偉人の方に一層高い創造性が認められるのではないか」といったことや、「新しい知識を獲得するといっても厳密な包括的法則を打ち立てることによってではなく、新しい研究への道を開くような仮説を作り出すことを通じてなのである。」

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また「どんな事実でもひとたびその意識を重要性が認められる歴史的事実という地位に上昇するのである。」といったカーの一家言は非常に目の覚めるものばかりでした。

こういった論を知っているかどうかで、研究者の仕事の質は変わってくるでしょう、いい意味で。

ただこれまでの先人たちのしてきた研究内容を勉強するだけでなく、いろんな事象や本を学んで、自分だけが発見しえなかったことが明るみに出たときの喜びを感じることは非常に楽しいことですし、いろんなことを多面的に学ぼうという気概を持っていれば、自然と自分に必要なビジョンは広くなっていくでしょう。

そんな喜びの中に生きる人こそが知識人と呼ぶにふさわしい人でしょう。

このほかに、いろいろ興味深い独自の論を展開していますから、興味を持った人は読むことをお勧めします。

これは大学で歴史学を学ぶ人だけでなく、他の学問を修める人や、その他一般人も読んでおいた方がいい本でしょう。

この本では、いろんな著作家の言葉を引用しながら論述しています。

引用とはいっても、ただ画然としているのではなく、自分の論旨と溶け込ませながらしているので、非常に興味そそられながら読み進めてしまいます。

こういった内容を読むと、カーはかなりの程度、丹念に研究を重ねていたなということがうかがわれます。

その論の描写の奥深さや広さに、広大さや壮大さを感じないわけにはいきませんでした。

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ご自身が持っていた歴史に対するモラルや、非常に多面的な考えを持っていることがわかりました。

その深淵さに圧倒され、読み終えたときには脳内が疲れてしまいました。

疲れたとはいっても、倦怠感あふれるいやな疲れではなく、充実した疲れでした。

この本に出てきた人物たちの書いた本は多数にのぼりますが、それらの本をまた読みたくなって、いろいろ模索するまでになりました。

そしてまた買いたい本のリスト増える…まさに病膏肓に入るですね(笑)。

そんな気宇を感じたい方にお勧めの本といっていいでしょう。

●この本は以下よりどうぞ!
       ↓
歴史とは何か 岩波新書 / エドワード・ハレット・カー 【新書】
by カエレバ


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