K.V.ウォルフレン 『アメリカを幸福にし、世界を不幸にする不条理な仕組み』

yuka

この本を読んでも、さすがにウォルフレン氏は確固たる持論を即座に出す能力にたけているなと感心する次第です。

昨今の情報がカオスのように氾濫する中で、持論を毅然と展開する姿勢には感服する次第です。

グローバル化は世界の趨勢であり、その中で自分の国もそれに従わなければといった気分になってしまうのが多勢に無勢の観がありましたが、その中で毅然とこの本の題名をモチーフとした著書を毅然と出すのはさすがと思わざるを得ないですね。

これは研究に研究を重ねて、確固たる立場を形成している人でなければできた話ではないです。

この人の本を読むたびに、いろんな国の政治的、経済的な制度を比較研究しているのみならず、世界の趨勢や情勢をつまびらかに摂取していることがすぐににわかるのです。

こういう姿勢こそ知識人と呼ぶにふさわしい人ですね。

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K.V.ウォルフレン


ウォールストリート関係者、金融報道機関、IMF,世界銀行、ヨーロッパ諸国の財務省、多国籍企業といった組織の人たちが口をそろえて「グローバリゼーション以外、今後世界が進むべき道はない」という声が外部に報道されていたのは間違いないのです。

これだけの機関が言えばそれはものすごい妥当性があるのでは、と思ってしまっても不思議ではないですね。

この本が書かれた時期には電子処理やコンピュータ管理の技法がかなり上昇していた時期だけに、そういう気もしますね。

多額の金の投資が要らなくなったのです。

1950年に比べ、94年には50倍の国際貿易の量が増えていたのです。

そして関税率も50%から6%まで下がっていたのです。

それゆえに、いろんな国のいろんな人たちが投資に携わるようになってもおかしくはないですし、だれもがそう思ったでしょう。

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事実、生産のグローバリゼーションは途上国にとって国際的な存在になれるチャンスであったのでしょう。

そのグローバリゼーションによって増えたのは、通貨取引、銀行業と融資、株や債券のうち、通貨取引が最大であったようです。

それはUSドルが国際通貨になったからできたのです。

アメリカ人以外も使えるようになったのですね。

これは遡ること、ニクソンが大統領のときに、USドルと金の交換を停止し、世界各国の金融自由化が始まったからでした。

しかし、そのような趨勢になったからといっていいことばかりではないのです。

例えば、大企業が人員の大幅解雇を宣伝すると大幅に株価が暴騰するのです。

人員に対しては悪いことなのにもかかわらずです。

それと同じように、海外投資において、無償の施設などをつくる企業に対しては、投資家は金を引き上げるのです。

何故なら、そういった投資には株価が上がらないからです。

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しかし、投資家の投資が多ければ多いほど企業にとっては良いのにそれが困難を極めるのです。

それよりも、金もうけを第一に考えている企業にこそ投資家は投資するのです。

慈善的なものには投資しずらいのです。

しかも、単なる投資ではうまくいかないのは明白ですし、経済発展においてはその国や企業にあった制度を固めてからでない投資をしても上手くいかないことが多いようです。

例えば日本型の経済システムは政府の保護を得ないと、継続できないシステムであるということをウォルフレン氏は研究の結果、看過していたのです。

ここまで研究していたとは驚きですね!

それに加え、消費市場の不登場やインフラがなかったという理由ゆえに、85年から90年までに日本から南アジアへ150億USドルの投資がなされたようですが、その投資に見合うリターンはなかったようです。

ただ、経済発展について書いた本を読めばわかることですが、経済発展はどこの国でもできるわけではなく、いろんな要素が必要なのです。

働きやすい気候、物を流通させるための道が整備されていること、売る製品を作るための技術や教育、流通のための環境、国民の勤勉性…etcこういったものが備わっていないことには経済発展、産業化は不可能なのです。

それを無視してグローバル化を意図するのは浅はかな考えでしかないのです。

その他、様々な要因があるものの、その要因の多くはこの本に書いてあるので読んでいただきたいですが、グローバリゼーションは、企業家の利己的自由を強化しただけ。

貧困国は富裕国に依存せざるを得なくなっただけということですね。


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ただアメリカへのお金の流出額が増えているだけということが言えるでしょう。

例えば、インターネットビジネスや他のインターネットを使った作業のためにオンラインを使用する時間が増えれば増えるほどアメリカ企業が金持ちになるという従属関係の例ですね。

70年代にはアメリカの直接海外投資額は453億ドルでしたが、90年代には1175億ドルにまで増えたのです。

でもこれは先進国と先進国の間柄も含まれていますが、我々の感覚で言うと、無理やり使わせられているという感覚は全くないですし、必要と心底思っているから使っているのです。

結果的に、グローバリゼーションは世界の貧しい人々や飢えに対する人道的支援であるとか、経済が成長すれば不平等が消滅するとかというテーゼは幻想でしかなかったということでしょう。

逆に貧困国は逆に悪化し、不平等や貧困は悪化したのです。

先進国の企業によるアジア諸国への海外進出によって、無理やり欲望を高揚させて産業化に組み込んでいるという論調の本があり、それだけ読むとそうなのかなと思ってしまうのです。

だからそんな海外進出は辞めるべきだ、といった意見になりやすいのですね。

ただ日本の海外投資や海外出店についてのいろんな本を読んでいくと、どうもそうではないのではないのではないかと思われてならないのですね。

金持ちになりたい、あるいは裕福な生活をしたいというのは、古今東西変わらぬ人間の欲望なのではないかと思われてならないのですね。

私がタイに旅行に行ったときに、街を歩いていたら、10歳くらいの少年が私たちのあとをつけてはがき等を売りにきていたのですね。

彼らは日本人が金持ちであることを知っていたようですね。

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これを売ることによってお金を得るようにしないと生活できないという事態に家庭がなってしまったのか、あるいは、単にお金欲しさに来ていたのかはわかりかねます。

このように売りにくる少年や大人が大勢いる一方、山のふもとの寺院を見に行ったときには、先進国の人はどう見ても欲しがらないような玩具を売っている店がありました。

そこの人たちは、別段売る気があるようには見えませんでしたし、たいてい寝ていました(笑)

そういった貨幣経済に組み込まれた生活をしなくても、そこらへんに野菜や果物が実っていて、それをとて食べていれば何ら生活に困ることはないのです。

先進国の人たちに売ろうと必死だった人と、売ることに全く無頓着な人が併存していたのです。

国是としてどちらの思考様式を持っている人が多い方がいいのかは、その国によって変わるでしょう。

ですから、部外者の人たちが口出すことではないと思いますが、いろんな研究書を読んだうえで、良くべき道と自分が思う方の行動を、旅行した時に採るべきなのは言うまでもないことです。

市民としてじぶんがどのような行動をすべきか、といった問題について大きな示唆を与えてくれる本だと思います。

そんな本を読みたい方は以下よりどうぞ!
   ↓




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その他、ウォルフレン氏の本について紹介したページ

『いまだ人間を幸福にしない日本というシステム』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/404153213.html?1442740078

『日本に巣食う4つの怪物』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/411025348.html?1442739448

『アメリカからの独立が日本を幸福にする』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/416108583.html?1442739522

『偽りの戦後日本』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/419390846.html?1442739842

『アメリカとともに沈みゆく自由世界』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/403562125.html?1442740154

『この国はまだ大丈夫か』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/403116925.html?1442740217

『怒れ!日本の中流階級』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/474007969.html

『年収300万円時代 日本人のための幸福論』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/376743327.html?1442740414

『独立の思考』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/369324554.html?1442740685

『快傑ウォルフレンの日本ワイド劇場』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/474352719.html?1585742051

『日本という国をあなたのものにするために』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/474704991.html?1587528849

『民は愚かに保て』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/474836111.html?1588163649


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