林信吾 『これが英国労働党だ』

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19世紀において、国の経済をどのように運営するか、どのように富を国民に配分するかという思想のうち、もっとも注目を浴びたのはマルクスの思想でしょう。

これ程多くの人をとらえた思想はなかったでしょう。

であるならば、この人の思想はどのように形成されていったか、その最大の影響者は誰か、といった事をつぶさに研究していくとまた更に興味深くなるでしょう。

しかし、その思想はやはりその人の書いた思想をそのまま国に導入するのではなく、その国のさまざまな事情や条件に適応させながら導入していくのが妥当なのではないでしょうか?

それまでのマルクス主義を採択した国の歴史をみると、そんなことを考えてしまいます。

これは何も、経済思想のみならず、宗教でも同様ですね。

その教祖の思想をそのまま導入するのではなく、その国の事情や条件に適応させるように、アレンジがなされていく、ということですね。

ことイギリスにおいても、マルクスの思想を導入する際に議論が戦われたということも、この本を読んで確認できました。

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  マルクス


この本を読んで、マルクスの思想の導入の云々についての歴史を垣間見ることができましたが、その時に、私の大学時代を思い出してしまいました。

大学の講義を受けるうちに、「大学での勉強こそが、社会に出て必要な知識を大いに学ぶことができて、その内容を実社会に出て行動することで社会をよくすることができる。ゆえに大学の勉強こそが、一番徹底しなければならない!」というモラルを形成した私は、周りの人間をたくさん説得しようと努力しましたが、だれも実行してくれなかったです(笑)

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勉強するのは、年末の試験前だけ、しかも友人のノートをコピーして、それを試験の前に暗記して試験が終わったらその内容は雲散霧消してしまう(笑)

非常に残念でした。

そのように「これこそが!」と自分が感化された思想というものは、人を無理やりその思想に変えさせようとするような行動に移させる威力を秘めているのですね。

マルクスの思想も同様に。

しかし、その人が完璧と思っていても、人から見るとそうでもない、ということが往々にしてあり、しかも、確かにいい思想ではあるけれども、一部だけ取り入れることにしようというレベルにとどまることがしばしばあるのですね。

ことマルクスの思想についても同様に。

マルクスの思想をもとに形成されたのが社会主義ですが、その社会主義を採択した国は、一時期地球の半分の国までに広がりました。

それだけ素晴らしい思想であるならば、私の国も、と思った人も大勢いたでしょう。

しかし、その採択が可能だった国の事情をみると、ほとんどが識字率の低い国だったのが明らかです。

文字という媒体はものすごく大事なのですね。

本を読み、それによってその人の思想を形成するのですから。

本を読まずしてその人のモラルを形成する場合には、人との会話がほとんどでしょう。

これでは、情報弱者の形成にほかなりません。

その思想を形成する根拠が弱いのです、これでは。

識字の低い国においては、大きな広場でのスピーチや掲示板による告知で一気にその思想の国民の感化が可能だったのですね。

社会主義を採択しようにも一部しか可能でなかった国の事情をみると、やはり識字率の高い国だったことが明らかでした。

しかし、識字率の高い国ではそれは無理ですね。

識字することでいろんな思想を本や雑誌、新聞で可能になる。

それゆえに、いろんな思想を吟味することができるようになるのですね。

ゆえにマルクスの思想はいいが、全部を取り入れることはできない、という立場になってしまったのでしょう、多くの国では。

識字率によって、だれもが保守的になるのですね。

ゆえに、社会主義の全面の取り入れは不可能だったのですね。

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そのことを知ったがゆえに、イギリス労働党は社会民主主義路線を採択したのでしょうね。

その社会民主主義に対立する社会主義思想は、マルクス.レーニン主義、革命マルクス主義というもので、労働階級を指導する前衛党を作り、その党のもとに労働者階級を作る。そうでないと社会主義は実現できないというものでした。

1880年代に土地公有化議論おこり、社民連盟フェビアン協会が結成されました。

そして戦後、鉄道、炭鉱、電気、ガス、水道、製鉄が国営化され、国民健保制度も確立し、100万戸公営住宅、奨学金制度も充実しました。

こういった政策は緊密に研究しないとわからないですげ、やはりマルクスの思想の影響なのでしょうか?

そんな気がします。

しかし、よしんば、その影響であったとしても、国全体をソ連のように社会主義で覆うという思想には発展しなかったようですね。

しかしそういったみんなが平等になろうという思想が労働党内において盛んになっても、対する保守党が政権をとっている時に、選挙前になると賃上げ、公共投資拡大、減税するも、選挙後に、金融引き締め、消費抑制というような政策をしてきた。

あるいは、サッチャー政権において、蔵出削減するも、警察官、と軍人の給与だけ引き上げ。

所得税減税の一方、15%もの付加価値税というような金持ち優遇政策がなされたことによって、なかなか平等にはなれなかったようですね。

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  サッチャー

保守党は、貧乏になったことがない人たちが政治家になっている。

または、官僚や首相といった人たちも。


ゆえに、自分たちの身を守ることに汲々となってしまうのは致し方ない、というか解かれといっても解からないでしょう。

ゆえにどうしても平等政策を推進しようという気になれないのですね。

そういった人たちが、貧乏人の気を分かるようになるには、自分がみんなと同じように貧乏生活を享受することでしょうね、戦後の日本のように。

更に、戦後、公共料金あげ、非生産部門の予算を削る。

それによって金融サービス部門潤い、製造関連の投資激減し、品質劣化を招くという結果を招きました。

ポルタックス(人頭税)=地方税(主に固定資産税)の導入で、大邸宅の人も家もない人も同じ金額とられるという結果を招いたのでした。

このような政策によって、金持ちと庶民の所得の差が開いたのでした。

サッチャリズムによってその差が画然としたものになったという経済学者の意見に私は与するものです。

これは社会民主主義の芽が摘まれてしまったのですね。

その芽は生きていていろんな部門で採択されているけれども、それが全面開花するようにはならないのは目に見えています。

これは対する労働党内が上手くコーディネイトできない状態であったのがわかります。

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どのような状態だったのかは本書を読むと面白いです。

また面白いのは、金融について勉強し、それに投資することで金持ちとそうでない人との差が開いた、ということですね。

それに投資することで、大きく稼げるということですね。

それにはそういう威力がありますが、労働ではまずそんなにはないでしょう。

自分が会社を設立して、社員の労働をピンハネすることでしかそういった威力を得ることは出来ません。

国営企業の民営化、それらの株が順調に買われた。

また、それによって投資家が潤った。


また、戦後、公共料金あげ、非生産部門の予算を削った。

それに投資した人が多く潤ったというイギリスの歴史をみれば、その金融への投資の威力がわかろうというものです。

森永卓郎氏はこれまで、庶民の立場になって経済を論じてきた人でした。

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  森永卓郎

某本でデイトレードによる恩恵を提示していました。

例えば3000万円を仕事で稼いだら890万円を税金で持っていかれるのですが、デイトレードで3000万円稼いだら300万円でいいということを知って私は歓喜しました。

一般庶民が儲けれることを提示してくれているのですから。

これまで庶民の味方でしたが、『庶民の知らないデフレの真実』において、金持ちの優遇政策に与するようになってしまったのは残念でした。

やはりいくらそれを唱えたところで日本の政策が変わらないゆえに、諦めたのだろうと思います。

氏は、これまでいろんな自分の書いた本がベストセラーになったので、資産が3億もあるようです。

それだけの資産をもっていれば、不動産をはじめとした金融資産を多く買うことができるのはデフレ下においてです。

しかし、デフレでは、多くの人が失業し、職変えが難しくなる。

しかしインフレになれば、多くの人が職を得ることができ、職変えも比較的容易になる。

ゆえにデフレをやめれば、現下の不況は一気に回復する。

しかしデフレをやめないのは、金持ちである官僚や為政者たちが資産を多く買えなくなってしまうゆえに、デフレをやめないのだといいます。

そのデフレをやめさせることが賢明な政策だと主張する経済学者を表に出してはならない、とまで書くように森永氏は変貌してしまったのですね。

前は、デフレをやめさせろ、デフレをやめさせろ、と必死に書いていたのに…。

これには呆れました。

しかし、この本には庶民が儲けれる話をいくつか提示してくれているので、全面的な金持ちの与するという立場ではないのがわかります。

しかし…森永氏の立場には留保しておきます。


しかし、金融に投資することで大きく儲けれるということを言っているのは、森永氏のみならずトマ.ピケティ『21世紀の資本』にも書いてあることです。

この本には、単なる労働だけに頼って生活してきた人と、きちんと金融について勉強してきた人がどのような収入の差が出てきたかを歴史を垣間見ながら論じているのです。

ですから金融に対する投資に自分も参戦するのがいいでしょう。

しかし、生兵法は怪我のもと、という諺があるように、単なる投資ではなく、いろんなその内容について勉強に勉強を重ねた末に投資し、それについて勉強を続ける、というスタンスでないと逆に貧乏になることは必至ですから注意が必要です。

マルクスの思想に感化されて、みんなが平等になるのが望ましい、としてもその思想に全員を感化するのはかなり難しいのが現状でしょう。

いろいろ理由はあります。

現代は、既に満ち足りた社会であり、1人が20万円くらいあれば普通に生活していける時代であるがゆえに、そんな政治活動をしなくても生活していけるので、そんな思想が魅力あるものに見えない、とか。

為政者や官僚、首相といったひとたちが、自分たちの収入を守るために国民の税や収入を犠牲にしてでも、そういう政策をやめない、とか。

いろいろあるでしょう。

しかしだからといって、その自分が信じる思想の他者への提示をやめたり、最低限の選挙時の投票くらいはしておかないといけないでしょう。

それでは民主主義の形骸化であり、為政者や官僚、首相の寡頭制を招きますからね。

それだけで満足するのではなく、自分が金持ちになるための行動が必要でしょう。

今はいろんな手段があります、労働だけに頼るのではなく。

それらについて奥深く勉強して、そして行動することが大事であり、王道であるような気がしますね、これまでの社会主義の歴史を垣間見れば。

そのことが分かった人は是非ともそういうスタンスを持つことをお勧めします。

そんなスタンスを持つこときっかけになり、人の思想を形成する一助になる本としてこの本をお勧めします。

このページだけでなく、奥深く読むことが何においても大事であり重要なのです。

●この本は以下よりどうぞ!
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これが英国労働党だ (新潮選書)

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